青空研究室

三ツ野陽介ブログ

K-POP進化論〜AFTERSCHOOL編〜放課後の無い国のポールダンス

「Flashback」とナナ

 After Schoolは2009年デビューのガールズグループで、2011年には日本デビューもしている。日本の活動ではすっかりavex色に染まっているが、僕が好きになったのは、2012年の「Flashback」という韓国語曲のミュージックビデオが、たいそうエロかっこいい(死語)ものだったからである。


After School(애프터스쿨) _ Flashback MV - YouTube

 僕の推しメンは、ナナというモデル系のキツネ目女子で、上のサムネイルでもセンターにいるし、日本のレセナのCMを覚えている人もいるかもしれない。K-POPにおける現役最強の美女だと思っている。

  ところでAfter Schoolには、ナナのほかにレイナという名のメンバーもいて、なんか聞いたことあるようなと思ったら、avex安室奈美恵とコラボまでしてるじゃないか。これではまるでスーパーモンキーズあらためMAXである。

 

初恋からポールダンスへ

 で、好きなK-POPアイドルを聞かれると「アフタースクールのナナ」と答える生活がしばらく続いていたのだが、今年6月に満を持して発表された「First Love (初恋 첫사랑) 」という新曲にはタマげた。


[MV] After School(애프터스쿨) _ First Love(첫사랑) - YouTube

  初恋の切ない思い出と後悔をテーマにした曲で、いったいどうして、タトゥー書いてポールダンスを踊っているのか……わけが分からない。初恋に胸ときめかせていた少女が、ポールダンスのお姉さんになるまでのストーリーを、脳内補完したくなってしまうけど……。

 なんでも、メンバーはこの曲のために、アザだらけになりながらポールダンスの猛練習をして、けが人も続出。結局、テレビでの歌披露は、故障による欠席メンバーも出て、イマイチしまらないものになった模様。正直、楽曲も売れ線とは言えず、リリース時期が重なったSISTARにランキングで押される結果に。

青春とアイドル

 それにしてもアフタースクールというグループ名なのに、大人のセクシー路線なところからして、どこかおかしい。放課後というより土曜日の夜なんじゃないか……って、それでは今は亡きSDN48(SDNはサタデーナイトの略)になってしまう。

 そもそもSDN48は露骨にK-POPを意識したコンセプトを持っていた(二枚目のシングルタイトルは「愛、チュセヨ」で、チュセヨは韓国語で「ください」の意)。いま思えばSDN48の挫折こそ、日韓のアイドル市場の相違点を浮彫りにする出来事だったのかもしれない。

 日本のアイドルは韓国に比べると幼くて、「学校の制服が着られる」ことが一つの年齢基準となる。日本のアイドル表現は、中学高校時代の青春を再現することを目指すものであり、だからこそ卒業ソングが鉄板なのである。

 一方、韓国のアイドルの場合、せっかく「AFTERSCHOOL」というグループ名をつけても、結局、夜の世界を表現するものになってしまうのはどういうわけなのか。

 おそらく韓国には、受験戦争のあまりの激しさゆえ、中学高校時代の青春というものが無いんじゃないか、それがアイドル像にも影響しているんじゃないか、と僕は仮説を立ててみた。

 そもそも韓国の高校は授業が夜まであるから、アフタースクールなんかねえじゃねえかとツッコミを入れるのもアリだ(参考【画像】韓国の高校って授業が15時限目まであるんだなwwww)。

 青春(청춘)という言葉は韓国語にもある。

 しかし、日本で「青春」という言葉から連想されるのは中高時代だけど、韓国では圧倒的に大学時代であると、韓国で出会った学生たちも言っていた。

 制服を身にまとって「制服が邪魔をする」と、大人の性愛への憧れを歌ったAKB48と、ポールダンスで昔の初恋の後悔を歌うAFTERSCHOOL。この差異は、両国の放課後の違い、二つの異なる青春を表していると言ったら言い過ぎだろうか(言い過ぎである)。