知性の種類と馬鹿の種類〜コンサルタント的知性について(2)
前のエントリー(誰が世の中のことを一番分かっているのか〜コンサルタント的知性について)は、問題提起しただけで終わってしまった。
なるべく1500字ぐらいに記事を収めようとしているのと、23時59分までに毎日更新というのを心がけているので、中途半端な文章をアップすることもあります(0時30分ぐらいまで、加筆修正作業中の記事が晒されている場合あり……)。そんなときはこのように、翌日付で続きがアップされるかもしれない。
知性の棲み分け
さて、前回述べたのは、コンサルタント的知性の影響力というものが、最近増しているように思うけど、これは何なんだろうね、という話である。
もちろん、大前研一さんのように経営的な視点から世の中を叩っ切る評論家は、昔からいた。他にも堺屋太一さんや竹村健一さんなど、ビジネスマンに好まれる評論家群というのは、昔からあったのだろう。
しかしかつては、そういう評論家は経済雑誌をおもに活動の場としていて、文学・思想派の人たちとはメディアを棲み分けており、お互いに論外な連中であると馬鹿にしながら無視し合っていたのだ。
今でもそういう棲み分けは残っているとは思うのだが、インターネットによってメディアがすべてリンクされ、かつてのような棲み分けがなくなったてきた、ということも言えると思う。
三つの知性
オタク文化の評論から出発して、世の中の色々なことを論じている評論家として岡田斗司夫さんがいる。昔で言えば、文芸評論家のような視点を持っている人と見なすことができるだろう。
そんな文芸派である岡田斗司夫さんが一時期、勝間和代的なものを小馬鹿にする文化に与せず、むしろ勝間さんへのリスペクトを公言していたのは新鮮に感じられた。
僕が「コンサルタント的知性」という名で呼ぼうとしているものに関して、岡田斗司夫さんは『あなたを天才にするスマートノート』という本のなかで、見事に分析している。
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岡田さんによれば、この図が表しているのは「天才の三要素」なんだそうで、それは「発想力」「論理力」「表現力」である。
発想力と論理力を兼ね備えているが、表現力に欠けているのが「改革者」
論理力と表現力を兼ね備えているが、発想力に欠けているのが「頭の良い人」
表現力と発想力を兼ね備えているが、論理力に欠けているのが「面白い人」
すべてを兼ね備えているのが「天才」
岡田斗司夫さんは、こんなふうに分析している。
これを僕の文脈に当てはめてみると、文芸評論家というのは「頭の良い人」で、小説家というのは「面白い人」で、コンサルタントというのは「改革者」だということになる。
つまり、コンサルタントや経営者といった人たちが、頭の回転は早いのかもしれないけど人間的深みがないようにも見えるのは、岡田斗司夫さんの言葉で言えば、「表現力」を欠いているからなのだ。
そういうコンサルタント的知性は、芸術的感性の持ち主や、人文学的知性の持ち主から見ると、かなり「馬鹿」に見える。逆にあっちから見れば、こっちがただの馬鹿に見える。
しかしそれは、本当の馬鹿はどっちかという問題ではなくて、知性の種類が違うということなのだろう。あるいは、馬鹿の種類が違うとも言える。
岡田斗司夫さんが、勝間和代さんをリスペクトし、勝間さんから色々と学ぼうとしたのは、相手が自分に足りないものを持っているということを認めたうえで、「天才」になるためには、それを学ぶことが必要だ、と考えたからなのだと思う。本当は岡田斗司夫の目から見ると、勝間和代は馬鹿に見えるはずなのだが、そういう気持ちを棚上げして、謙虚に学ぼうとしたわけだ。
僕も似たようなことを考えて、ビジネス書なども少々たしなむ。周りの哲学研究者にはなかなか通じない話である。
最近で言うと、やはり外資系コンサルタント出身の、ちきりんさんの本を読んだりもする。いずれ感想を書いてみたい。
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