青空研究室

三ツ野陽介ブログ

統一国家の正統性について〜韓国と日本の場合

朝鮮半島分断の責任はどこの国にあるか

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 韓国の人たちが抱く、日本に対する忸怩たる思いのなかには、「なぜ韓国が分断されて、日本が分断されなかったのか」というものがあるらしい。

 確かに、もう一つの敗戦国であるドイツは東西に分断されたのだから、日本も分断されて然るべきだったのではないかと考えることには、ある種の自然さがある。それなのに、なぜか分断されたのは韓国で、日本は分断されないどころか、朝鮮戦争の漁夫の利で経済成長してズルい、理不尽だと。朝鮮特需(- Wikipedia)というものは、韓国ではとてもよく知られているようだ。

 さらに、日本人には不思議に思えることだが、「分断の責任はどこの国にあるか」というアンケートを韓国で行うと、日本がかなり上位に来るらしい。中央日報が2005年におこなったアンケートによると、「アメリカ53%、日本15.8%、ロシア(ソ連)13.7%、中国8.8%」だそうで( 朝鮮統一問題 - Wikipedia)、日本が2位であることにも驚くが、アメリカの数字が圧倒的であることにも驚かされる。

 朝鮮戦争のプロセスを振り返ってみると、(1)北が南に侵攻してきて、半島全域を制圧しそうなところに、(2)アメリカ軍が上陸して巻き返し、逆に北をほぼ制圧したら、(3)今度は中国が北から加勢してきて、真ん中まで押し戻されて膠着、という展開である。

 (2)のところで終わってれば良かったのにと考えるとすれば、中国やその背後にいたソ連のせいだと考えるのが自然に思える。しかし、アメリカが悪いと考える人たちが多いということは、(1)の時点で終わっていれば良かったと考えているのだろうか。

 そして、日本が悪いと考える人たちは、「そもそも植民地支配していた日本が元凶」という考えなのだろう。

もしも日本が分断されていたら

 敗戦後の日本がもしも分断統治されていたら、70年経った今でも分断国家のままだっただろうか、と考えてみたことがある。

 想像に過ぎないが、天皇家が温存されていれば、天皇を担いだ側(おそらく親米勢力)が官軍となり、そうではない側が賊軍(おそらく共産主義勢力)となって、結局、天皇の名の下に、案外簡単に統一がなされていたのではないかという気がする。

 そう考えてみると、国家の正統性を調達する機能としての天皇の有効性に、あらためて驚かされる。

北と南のどちらが正統な政府なのか

 国家の正統性とは、その政府が国を治めることがなぜ正当なのかという、歴史による理由付けである。

 韓国には、そのような統一の正統性が不足している。本来であれば、「独立戦争での勝利」ということが、それを保証するはずだったのだ。

 小倉紀蔵さんは以下のように書いている。

  韓国と北朝鮮が統一されたときに、どちらがより正統性を持った政府なのか。国力、経済力では圧倒的に北朝鮮の方が弱くて、韓国の方が強いというのは誰が見ても明らかである。しかし国家の権力の正統性という意味でいえば、「三八六世代」の考え方によれば、北朝鮮が優位であるという見方が出てくる。(……)

 北朝鮮金日成の一派が満州抗日運動をした。これは明らかだ。(……)ところが韓国の場合は事情が異なる。(『心で知る、韓国』)

  小倉紀蔵さんは、僕がもっとも信頼している韓国研究者の一人でよく読んだのだが、他にも多くの韓国専門家たちが、韓国の現在の反日は、果たされなかった抗日運動の代償行為であると指摘している。

 韓国の歴史教科書を読むと、日本の支配の残酷さが強調されていると言うよりも、そのような支配に対して、どれだけ当時の韓国の人たちが力強く立ち向かったかという、「烈士」たちの「義挙」のほうが強調されているという印象を受ける(金日成抗日運動については、その逆である)。

 国家の正統性という観点から言うと、そちらのほうが重要なことなのである。

心で知る、韓国 (岩波現代文庫)

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入門韓国の歴史 (世界の教科書シリーズ)

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