青空研究室

三ツ野陽介ブログ

良い小論文、悪い小論文(1)

韓国では作文も教えたけど

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 四月からある大学で非常勤講師をやるのだが、それだけでは収入低すぎるだろということで、知り合いが起業して軌道に乗せている予備校で、お世話になることになりそうである。

 それで、どの科目を担当したいかという話になって、最近、小論文指導に興味があるんですよね、という話をしてきたのだ。

 韓国で日本語教師をしていたときには、原稿用紙の使い方なども含めて作文の授業をしたし、レポートを採点する機会なども多々あり、文章の書き方を教えるということについて、少し考えたことがあった。韓国の学生たちの日本語能力には文句はなかったのだが、語学とは関係ない部分で、指導の必要性を感じた。

 例えば、日韓関係についてレポートを書かせると「高校のときの歴史の先生がこんなふうに言ってました」とか書いてくるし、「独島は言うまでもなく韓国の領土であり」とか書いてきたりするので、独島が韓国の領土なのは別にいいけど「言うまでもなく」って書いて終わりにするのはやめてくれとか、レポートっていうのはいちおう論文で、感想文じゃないんだから、高校の先生の談話を論拠にするのはやめてくれとか、論文作法について口うるさく言っていたのだ(ま、日本の学生でも同じか、もっと酷いかもしれないけど)。

 『樋口裕一の小論文トレーニング』

 当時の僕は、そんな指導の教材として、小論文対策の受験参考書を日本で買い込んで、韓国に持ちこんでいた。

 かつて自分が受験生だった頃には、模擬試験の小論文テストでよく順位表に載ったりして自信があったので、特に小論文対策はしなかった。しかし、文章の書き方を人に教えるとなると「たくさん本を読んだほうがいいよ」ぐらいしか言えないので、何らかのメソッドが必要だと思ったのである。

 小論文指導の分野では一番たくさん参考書を出している樋口裕一さんという人がいる。一般書の分野でも、10年前に『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP新書)が大ベストセラーになった人だ。

 この人の本は、僕が受験生だった頃から本屋に並んでいたけれど、自分が教える側に回って初めて読んでみると、とても参考になる部分が多い、さすがベテラン指導者だと思った。ブログを書く人にとっても、大いに参考になるんじゃないだろうか。僕のブログの文章なんかは、樋口先生に叱られそうな点がたくさんあるけれども。

  例えば『樋口裕一の小論文トレーニング』という本の冒頭には、こんな例題がある。

例題1

「コンピュータについて、あなたの思うところを述べよ」という小論文の課題が出された。つぎのA〜Cは、ある三人の答案から、最後の結論部分だけを抜き出したものである。小論文としてもっともふさわしい結論はどれか。一つ選び、理由も答えよ。

 

A コンピュータのおかげで、私たちの生活は快適になった。コンピュータをよりよく使って社会に貢献することが、私たち若い世代に課せられた使命だ。

 

B 驚異的スピードで進化するコンピュータ。豊かな感情を持つ人口知能の完成もそう遠い日のことではない。そのとき世界は、人間は、どう変貌しているのだろうか。

 

C コンピュータがもっと発達すると、人間性はもっと失われてしまうのだ。よって、コンピュータは人間を幸福にせずに、逆に不幸にする機械だ。

 さて、皆さんは、A〜Cのどれが正解だと思いますか。

 正解は次のエントリーで書くってことで、明日までの宿題にしますので、考えといて下さい(笑)。コメント欄を解答用紙代わりにつかってくれてもいいですよ。

 簡単な問題かもしれないけど、僕は樋口先生の解答解説を読んで、なるほどと感服しました。 

樋口裕一の小論文トレーニング―書かずに解ける新方式でいつでもどこでもパワーアップ! (大学受験合格請負シリーズ)

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