青空研究室

三ツ野陽介ブログ

2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

歴史における美しさについて〜『風立ちぬ』(スタジオジブリ)

『風立ちぬ』がもうDVDになっているようなので、見直してみた。 (以下、物語の核心にかかわるネタバレは無いと思うけど、ナーバスな人はスルー推奨) あらためて感じるのは、主人公・二郎の「美」に対する異様なこだわりである。悪く言えば、二郎は「美しい…

ありのままでモテない勇気と『嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見 一郎、古賀 史健著)

アドラー心理学では、他者から承認を求めることを否定します。(……)他者の期待など、満たす必要はないのです。(……)他者からの承認を求め、他者からの評価ばかりを気にしていると、最終的には他者の人生を生きることになります。(……)すなわち、「自由と…

「こじらせ」と「俺萌え」〜本田透『喪男の哲学史』

私は思います。日夜想像します。人の視線や、世間の常識や、善悪の基準すら関係のない自由な世界で、どんなものにもとらわれず、好きな装いをし、気持ち良く深い呼吸をしている自分を。(『女の子よ銃を取れ』pp.6-7) 昨日のエントリーで紹介した雨宮まみさ…

「美しくなる」とは「自由になる」こと?〜雨宮まみ『女の子よ銃を取れ』

雨宮まみさんという物書きがいて、自伝的エッセイ集『女子をこじらせて』が、たいそう面白かったので、その次に出た『ずっと独身でいるつもり?』も読み、いちばん最近出た『女の子よ銃を取れ』という本も読んだのだが。 僕もやはり、独身三〇代女子の心中に…

[漫画感想文]『俺はまだ本気出してないだけ』(青野春秋)

以前、最初の数巻を読んだことがあり、映画化されたものをDVDで見たこともある『俺はまだ本気出してないだけ』(青野春秋)が、全五巻でとっくに完結していることに今ごろ気づいた(映画化の時点で完結してた)ので、通して読んでみた。 しがない四十男のシ…

[読書感想文]松竹伸幸著『集団的自衛権の深層』

この本の書名が『集団的自衛権の真相』ではなく『深層』となっているのは、「この問題は、集団的自衛権に賛成か反対かという角度だけでみていては、深い理解に達することはできない」(p.15)という、著者の思いがこめられているのだと思う。 集団的自衛権の…

[読書感想文]正義の武力行使はあるか〜最上敏樹著『人道的介入』

戦争と平和について考えていたら、以前、最上敏樹『人道的介入 正義の武力行使はあるか』という本を読んだことがあるのを思い出したので、付箋を貼ったところを中心に、ざっと読み直してみました。 「人道的介入」はおもに、国連の平和維持活動にどう協力す…

反戦平和に憧れて

集団的自衛権反対を訴えて焼身自殺を図った人について、「そこまでして国民に訴えたいことがあったのか!その声に耳を傾けなければ!」などと思えず、「そんなことやる前にちょっと頭冷やそうよ」と普通にドン引きしてしまう自分は、やはりもう左翼ではない…