青空研究室

三ツ野陽介ブログ

2014-01-01から1年間の記事一覧

韓流の未来〜K-POPライブを初めて見た〜AOA@a nation resort stage

ニュースなどを見ていると、これから日韓関係はどんどん悪くなっていくだろうとしか思えないのだが、K-POPのライブを初めて見に行って、なんだか僕は、ほっこりした気分になって帰ってきた。昨日のことである。 確かにそこは、灼熱の太陽が照りつける炎天下…

人生の意味について僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの

「人生の意味」とはどんな意味か 「自分の人生に意味はあるのか?」なんて考えたくなったときには、まずは「人生」の意味でなく、「人生の意味」の意味について考えなくちゃいけない。 つまり、「人生に意味はあるか?」という問いに答えるためには、まずは…

歴史における美しさについて〜『風立ちぬ』(スタジオジブリ)

『風立ちぬ』がもうDVDになっているようなので、見直してみた。 (以下、物語の核心にかかわるネタバレは無いと思うけど、ナーバスな人はスルー推奨) あらためて感じるのは、主人公・二郎の「美」に対する異様なこだわりである。悪く言えば、二郎は「美しい…

ありのままでモテない勇気と『嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見 一郎、古賀 史健著)

アドラー心理学では、他者から承認を求めることを否定します。(……)他者の期待など、満たす必要はないのです。(……)他者からの承認を求め、他者からの評価ばかりを気にしていると、最終的には他者の人生を生きることになります。(……)すなわち、「自由と…

「こじらせ」と「俺萌え」〜本田透『喪男の哲学史』

私は思います。日夜想像します。人の視線や、世間の常識や、善悪の基準すら関係のない自由な世界で、どんなものにもとらわれず、好きな装いをし、気持ち良く深い呼吸をしている自分を。(『女の子よ銃を取れ』pp.6-7) 昨日のエントリーで紹介した雨宮まみさ…

「美しくなる」とは「自由になる」こと?〜雨宮まみ『女の子よ銃を取れ』

雨宮まみさんという物書きがいて、自伝的エッセイ集『女子をこじらせて』が、たいそう面白かったので、その次に出た『ずっと独身でいるつもり?』も読み、いちばん最近出た『女の子よ銃を取れ』という本も読んだのだが。 僕もやはり、独身三〇代女子の心中に…

[漫画感想文]『俺はまだ本気出してないだけ』(青野春秋)

以前、最初の数巻を読んだことがあり、映画化されたものをDVDで見たこともある『俺はまだ本気出してないだけ』(青野春秋)が、全五巻でとっくに完結していることに今ごろ気づいた(映画化の時点で完結してた)ので、通して読んでみた。 しがない四十男のシ…

[読書感想文]松竹伸幸著『集団的自衛権の深層』

この本の書名が『集団的自衛権の真相』ではなく『深層』となっているのは、「この問題は、集団的自衛権に賛成か反対かという角度だけでみていては、深い理解に達することはできない」(p.15)という、著者の思いがこめられているのだと思う。 集団的自衛権の…

[読書感想文]正義の武力行使はあるか〜最上敏樹著『人道的介入』

戦争と平和について考えていたら、以前、最上敏樹『人道的介入 正義の武力行使はあるか』という本を読んだことがあるのを思い出したので、付箋を貼ったところを中心に、ざっと読み直してみました。 「人道的介入」はおもに、国連の平和維持活動にどう協力す…

反戦平和に憧れて

集団的自衛権反対を訴えて焼身自殺を図った人について、「そこまでして国民に訴えたいことがあったのか!その声に耳を傾けなければ!」などと思えず、「そんなことやる前にちょっと頭冷やそうよ」と普通にドン引きしてしまう自分は、やはりもう左翼ではない…

ぜんぶ男子校のせいだ!〜ヤマダ『ぜんぶ女子校のせいだ!』

ぜんぶ男子校のせいだ!|「男子校に6年間いたから、ちょっとゆがんじゃったかなと……女の子は空想の世界にしか存在しなかった」|「セーラー服おじさん」という“社会実験”から見えたものとは (1/4) - ITmedia ニュース - http://t.co/NccAUDyhzA — 三ツ野陽…

K-POP女性MV2014年上半期個人的ベスト10

今年も半分終わろうとしているが、K-POPガールズグループの上半期ベスト10をまとめてみる。完全に、僕の主観に基づきます。 基準は曲の良さだけでなく、ミュージックビデオの出来も込みで。K-POPってそういうものだと思うから。 K-POPの素晴らしいところの一…

隣国を語ること、自国を語ること 〜シンシアリー『韓国人による 恥韓論』

いわゆる「嫌韓」、韓国批判の言説というものには二種類あって、ひとつは韓国の反日的な主張に対して反論、抗議するものであり、もうひとつは、日本と無関係に、ただ韓国社会の内部の問題について、あれこれ欠点を批判(紹介?)するものである(その他に、…

僕の韓国本コレクション

韓国に住んでいた頃の「趣味」の一つは、韓国や日韓関係についての書籍を読むことだった。 もっとも僕は、韓国研究者ではないし、読んだ本は学術的な研究書とは言えない、一般向けの本がほとんどである。 左翼系の研究者が書いた本も何割かあるけれど、例え…

「自分たちのサッカー」とロマン主義 日本サッカー敗戦記2014

オクスフォードの哲学者アイザイア・バーリンによれば、18世紀の終わり頃、ヨーロッパに現れたロマン主義者たちは、「失敗は何かまやかしで卑俗さをもつ成功より高貴であると信じていた」のだという。「一八二〇年代までに、あなた方は、精神態度、動機を帰…

それでも渡辺麻友は言った 〜AKB48 第6回選抜総選挙 感想文

日本のアイドル文化は素晴らしい。 しかし、年端もいかない少女に群がることが、そんなに誇らしい文化だろうか? それでも、そこには少女たちの「夢」がある。 しかし、容姿を主とする自分の魅力を、皆から認められるということが、そんなに素晴らしい夢だろ…

歴史記述とデータベース

正しい歴史認識とは、「何年何月何日に、どこそこで、こんなことがありました」ということを、正確に認識することなのだろうか。あらゆる事実に関する、そのような知識の総体こそが、歴史なのだろうか。 アーサー・C・ダントーの『物語としての歴史ー歴史の…

勝利のビジネス書と敗北の文学

世に溢れるビジネス書、自己啓発本というものは、多かれ少なかれ成功者の自伝という要素を持っている。 勝ち組の著者が「私はこんなふうに生きてきました」と人生を語れば、それが読者によって「そんなふうに生きれば成功できるんだな」というノウハウに変換…

コツコツ当てる安打製造機〜1ヶ月間、毎日ブログを更新しての振り返り

怒濤の毎日連続更新を始めたのが、先月の15日だったので一ヶ月は経過したことになる。 その間、つねに自問していたのは「こんなことやってて意味あるのかな」ということで。 十分に意味を感じることができたから一ヶ月続けられたというよりも、まだまだ意味…

韓国の大学の素晴らしい授業〜映画『建築学概論』

文化の優劣 世界の国々には様々な文化があり、そこには個性の違いがあるだけで、「進んでいる」や「遅れている」といった区別があるわけではなく、優劣によって比べることはできない。すべての文化は対等である。 と、いうような文化相対主義の考え方は、あ…

ワイ大学非常勤講師、初回の授業を終えた結果

学生たちのリアクションの薄さに、やや戸惑い気味の模様。 ああ、韓国の大学にいたときには、随分と学生達にチヤホヤしてもらってたんだなあ、と思いましたね。今さらながらカムサハムニダですよ。 もっとも、韓国の大学では20人以下の少人数クラスで日本語…

近代の悩み一覧表

ふむ。 明日から、とある大学で授業をするのだが、相手は体育大学の一年生で、どのぐらいの知識を前提に話をすればいいのか見当がつかない。ほぼ必修に近い、大教室の授業のようです。 今の社会は近代になってから生まれた 前も少し書いたように、科目名に「…

良い小論文、悪い小論文(2)

昨日の記事(良い小論文、悪い小論文(1))では、小論文対策の受験参考書には、なかなか良いことが書いてあるよと紹介したうえで、『樋口裕一の小論文トレーニング』という本の中から宿題を出したのですが、まずはその答え合わせから行きましょうか。 樋口…

良い小論文、悪い小論文(1)

韓国では作文も教えたけど 四月からある大学で非常勤講師をやるのだが、それだけでは収入低すぎるだろということで、知り合いが起業して軌道に乗せている予備校で、お世話になることになりそうである。 それで、どの科目を担当したいかという話になって、最…

インターネットにおける実名の問題

僕が実名で書ける理由 10年か、それ以上前の僕は、「いまの自分はこんなんだけど、将来まったく違う人間に生まれ変わって、この自分を恥ずかしく思うときが来るかもしれない」という感覚を持って生きていた。 例えば、10年かそれ以上前の自分と言えば、モー…

統一国家の正統性について〜韓国と日本の場合

朝鮮半島分断の責任はどこの国にあるか 韓国の人たちが抱く、日本に対する忸怩たる思いのなかには、「なぜ韓国が分断されて、日本が分断されなかったのか」というものがあるらしい。 確かに、もう一つの敗戦国であるドイツは東西に分断されたのだから、日本…

恋する相手を自由に選ぶなんてできるのだろうか

「へえ、何を研究なさってるんですか」と初対面の人などに聞かれて、「テツガクです」と答えるのがいつも恥ずかしいのだが、「哲学?どんな?」と掘り下げられて、「ええ、まあ、自由について、とかですね」と答えるのも、さらなる羞恥プレイである。 「倫理…

運命とは自由を諦めることなのか

自由とは「そうしないこともできたはずだ」という後悔のことである。 中島義道さんの『後悔と自責の哲学』という本に出てくる、そんな考えについて前回、紹介した(自由とは後悔のことなのか〜中島義道『後悔と自責の哲学』 - 青空研究室)。 では、その後悔…

自由とは後悔のことなのか〜中島義道『後悔と自責の哲学』

「選択可能性と道徳的責任」と『後悔と自責の哲学』 前回の記事(こんな僕でも訳者になれた )では、『自由と行為の哲学』と題された共訳書のなかで、フランクファートという哲学者の「選択可能性と道徳的責任」という論文を翻訳したことがあるんですよ、と…

こんな僕でも訳者になれた

『自由と行為の哲学』について こんな僕にも、研究者らしく、訳書というものがあった。 『自由と行為の哲学』という本がそれである。もう四年前になるのか。 自由と行為の哲学 (現代哲学への招待Anthology) 作者: P.F.ストローソン,ピーター・ヴァンインワー…