青空研究室

三ツ野陽介ブログ

韓流の未来〜K-POPライブを初めて見た〜AOA@a nation resort stage

 ニュースなどを見ていると、これから日韓関係はどんどん悪くなっていくだろうとしか思えないのだが、K-POPのライブを初めて見に行って、なんだか僕は、ほっこりした気分になって帰ってきた。昨日のことである。

 確かにそこは、灼熱の太陽が照りつける炎天下の野外ステージだったのだが、心情的には、真冬に日なたぼっこでもしているかのような、とても温かい空間だったのだ。

韓流 冬の時代に

 KARAや少女時代が、日本でいちばん勢いがあった頃(2010から2011年)、僕はK-POPに興味が無かった。いま僕が興味があるのも、あのブームの頃に次々と日本に上陸したグループではなく、韓国で最近ブレイクしたグループが中心である(参考 K-POP女性MV2014年上半期個人的ベスト10 - 青空研究室)。

 数年前であれば、それらのグループも日本デビューに照準を合わせたはずなのだが、韓流ブームの退潮や、対韓感情の悪化といった昨今の情勢のなかで、K-POPの人気グループが日本語歌詞をひっさげて、日本デビューを試みるということも、最近はめっきり少なくなった。

 それでも、この秋は久々に、AOAとA Pinkという二つの人気ガールズグループの日本デビューが予告されていて、その成否は、K-POPの日本での活動の今後を占うものになるだろう。

 今回、僕が見に行ったのは、10月に日本デビューを控えたAOAである。

(AOAの最新ヒット曲 단발머리(Short Hair) M/V - YouTube

夏の代々木のAOA

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 AOAは日曜日にもa nationのステージに上がったようなのだが、この火曜日は野外の特設ステージでのミニライブ。500円のa nation入場料を払うだけで見られるようだったので、在宅派の僕も重い腰を上げたのである。

( a nationとは、国立代々木競技場第一体育館とその周辺地区で一週間にわたって行われる、エイベックスの夏のライブフェスティバル)

 この日のa nationの目玉は、ももいろクローバーZだったようで、推しメンのカラーに身を包んだモノノフたちが決戦に向けて、続々と代々木に集結し始めていた。そんななか、AOAのファンは少数民族であった。

  ライブ開始時間にステージに集まったのは、数百人のファンたち。

 日本にも、Youtubeでしか会えないK-POPアイドルをチェックしている、僕と同じようなファンがたくさんいるのだということが、今までイマイチ信じられなかったのだが、今回、初めてそれを実感した。

 客層は、半分ぐらいが僕と同類みたいな男性ファンで年齢層は幅広かった。残りの半分は若い女の子のファン。AOAのミニスカートのコスプレをしている美人さんたちもいた。

 「韓流」としてのK-POP

 今までは、自分のお気に入りのK-POPガールズグループが、日本デビューしないことを、特に残念にも思っていなかったのだが、実際にこうして見てみると、ああ、よく来てくれたなあ、と思った。

 僕は今まで、「カッコいいと思ったK-POPも、日本語歌詞になると一気にダサくなる」とか、「自分はK-POPのファンだけど、日本のメディアが仕掛ける韓流のファンではないんで」とか、ウルサいこだわりを持っていた。今回のAOAの日本デビューにしても、「セクシーすぎるミニスカエンジェル」というキャッチフレーズ(日本公式サイト)を見て、「あちゃー」と思っていたのだが……。

 しかし、真夏の太陽の下で、顔をテカらせながら、ヒット曲「짧은 치마 (ミニスカート)」や「단발머리(ショートヘアー)」の日本語版を披露するAOAのメンバーを見ていたら、そんなこだわりもどうでも良くなって、ああ本当に、日本でも成功すればいいのになあ、と素直に思ったのだ(当日は、他に韓国語歌詞で「GET OUT」を披露」)。

日本デビューシングル曲「ミニスカート」- YouTube(動画は韓国語版)

きっと大丈夫

 まだまだ、たどたどしい日本語を、ところどころにまじえながらのMC。それを見守るファン達の、温かい視線。

 そして、韓流タレントにありがちな、あの

「みなさん、愛してます〜」

という、ファンに向けた変な日本語のメッセージ。「サランヘヨー」っていうのを日本語に直訳するから、「愛してます〜」になるんだと思うが、ももクロだったら「みんなことが、ダイスキだよ〜っ!」とか言うところだろう。

 それでも、そういった、ひとつひとつのぎこちなさがすべて、あの空間では、とても好ましいものに思えた。

 韓国では、今もっとも波に乗っているA級アイドルなのに、ここではB級アイドル扱いの完全アウェイ状態。「本当に、よく来てくれたなあ」と、あの場にいたファンの誰もが思っていたに違いない。

 時勢に逆らった蛮勇、といった大げさな意味づけには、無理があるかもしれないけど、でも、きっと大丈夫、って思ったんだ。