それでも渡辺麻友は言った 〜AKB48 第6回選抜総選挙 感想文
日本のアイドル文化は素晴らしい。
しかし、年端もいかない少女に群がることが、そんなに誇らしい文化だろうか?
それでも、そこには少女たちの「夢」がある。
しかし、容姿を主とする自分の魅力を、皆から認められるということが、そんなに素晴らしい夢だろうか?
それでも、少女たちはその先に、女優や歌手といった、ただのアイドルを超えた夢を持っている。
しかし、そうだとすれば、アイドルというあり方そのものは、価値が低いということにならないか?
それでも、少女たちはAKB48グループを愛している。
しかし、しばしば彼女たちは芸能活動よりも、普通の女の子としての恋愛を選ぶではないか?
それでも、スキャンダル後のメンバーを、応援し続けるたくさんのファンがいる。
しかし、アイドルが「皆さんのことが大好きです」なんていうのは、嘘っぱちではないか。
それでも、握手会に行けば、アイドルとファンとの心の交流がある。
しかし、「剥がし」役のスタッフが後ろに立った数秒間で、「心の交流」なんて、本当にあると思っているのか?
それでも、握手会は、AKBメンバーとファンたちの、大切な居場所なんだ。
しかし、少女たちの前にファンが長蛇の列をなす姿は痛々しく、他に居場所を探したほうがいいのではないか?
それでも、好きなメンバーを応援するために、ファンたちはCDを何枚も買う。
しかし、人気投票で少女たちを序列化していくあの醜いイベントが、本当に彼女たちの「夢」のかたちなのだろうか?
それでも、投票の結果、推しメンの順位が上がれば、本人は涙を流して喜ぶし、下がれば涙を流して悲しむ。
しかし、そんなメンバーたちの涙を、ゲスな娯楽として楽しんでいるのは君たちではないか。
それでも、おそらく来年も、あのイベントは開かれ、少女たちはみずから「立候補」する。
しかし、もう「あの事件」で、AKBというグループは終わったのではないか?
それでも、AKBは続いていく。
しかし、少女たちも君たちも、そろそろこの無限ループから「卒業」すべきではないか?
それでも、すべての矛盾を包み込み、たくさんの傷を負いながら、皆の汚れてしまった夢を引き受けて、「AKB48グループは私が守ります!」と、渡辺麻友は言った。